蔵元便り
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
’07/01
いよいよ大吟醸の仕込みスタート!
新年を迎え、昨年暮れまでの暖かさがウソのように毎日寒い日が続いています。蔵のほうもこの寒さを利用して「山廃」や「大吟醸」などの仕込みが始まりました。「山廃」は仕込んだ米から自然に乳酸が発生するのを待つため、酛の期間を約1ヶ月要します。仕込みで乳酸を使用しないということはそれだけ雑菌に侵されやすいことを意味します。そのため、乳酸が充分発生するまでは温度管理や雑菌対策をしっかりしなくてはなりません。また、「大吟醸」は言わずと知れた最高のお酒です。高精白の米を使用し、醪の温度をぐっと下げて低温で造って行くためこれも温度管理が大変です。「山廃」も「大吟醸」も寒いこの時期だからこそのお酒であり、手のかかる作業が続くのも特徴です。(だから更新が遅れたんです。決してさぼった訳ではありません。)造りも後半戦、手の掛かる仕込みが続きますが、いいお酒ができるよう、皆がんばっております。
お正月 トゥ リメンバー
毎年のことですが、年末年始は実家で過ごしました。ただし、今年は弟夫婦に双子が誕生したため、さらに賑やかなお正月でした。こっちが泣けばあっちも泣き・・・と、普通の正月であればお酒を飲んで寝てばかりの私まで借り出され、あやしたり抱っこしたり。「ゆう」に「しゅん」お前たち、おぼえとけよ!
息子は1月3日に誕生日を迎え3歳になり、そのプレゼントとして彼の叔母(私の妹)から「ボブとはたらくブーブーズ 『クリスマス トゥ リメンバー』」のDVDをもらい大喜びでした。前から欲しいって言ってたもんな。いつものブーブーズの話に違わず今回も良いストーリーで心温まるものでした。でも多分、息子は本物のエルトン・ジョンを見たら「違う!」って言うことでしょう。
ボブたち兄弟の思い出に残るクリスマスの話を見て思い出したもの、それは「外で遊ぶ」と言い張る息子に引っ張られて出た庭にありました。昔私たち兄弟が作ったラジコン(の残骸)です。ポルシェやスカイラインGT-R、フェアレディZ、BMWにルノーなどなど。父には「お前達いったい何台作ったんだ?バカだよなー」と呆れられ、妻には「本当にもったいないことしてるよね。」と冷たい目で見られ、味方は「ジー
ティー アールだー!」とそれで一生懸命遊ぶ息子だけでした。でもね、それは僕たち兄弟にとってはお正月の思い出なんだよ。
初めて自分でラジコンを作ったのは中学1年のお正月でした。何万円もする高価なものでしたから、お年玉が貰えるまで我慢しました。それまでは毎日のように弟と二人で、寝る前の布団のなかでカタログを見ては「これにしよう」と話していました。そしてお正月、お年玉を貰うやいなや母親にせがみ模型店まで連れて行ってもらい、大金を使うことにドキドキしながら買ったラジコン。私は「ホーネット」、弟は「グラスホッパー」というバギーでした。初めて作るギアボックスやステアリング・ロッドの調整に手間取りながらも寝る間を惜しんで作り(弟は父に手伝ってもらい)、翌日走らせた時の感動といったら!今まで遊んでいたオモチャのラジコンなんてウソのように速く、走破性も高く、バギーではあるけれど一流のWRCドライバーになった気分でした。寝るときも枕元に新聞紙を敷いて、その上にラジコンを置いて寝たり、いとこと3人で雪の中で走らせたり、とにかくラジコンのことばかりでしたが思い出のいっぱいつまったお正月になりました。
それ以来、私たちは大学を卒業するまで毎年のようにお正月にはラジコンを買いました。だから主要部分だけ外されたラジコンたちがいっぱいあるし、それが私たち兄弟の思い出でもあるのです。
今年のお正月は弟が息子に「GT-R」のラジコンを買ってくれました。弟もきっとあの頃の事を覚えているのでしょう。息子たちや甥っ子たちにとっての「思い出に残るお正月」はどうなるのでしょうか。私たちのように、くだらなくても楽しい思い出であって欲しいと願っています。