蔵元便り
2月
上林(綾部市の北東部)の怪人現る?
蔵の仕込みは大詰めを迎え忙しい日々が続いています。大吟醸の麹造りがあったため、徹夜で麹の番をしたり、朝(でもまだ日の出の何時間も前)も早くから仕込みをしたりと毎年のこととはいえ、正直もうへとへとです。最近、突然息子に「お父さん、綾小町つくっちゃだめ」「会社にいっちゃだめ」と言われました。妻曰く、「休みの日もずっと会社に行ってるから淋しいんじゃない?」とのこと。待ってろ、もうあと1ヶ月だ。
さて、そんな状態の蔵に助っ人が2名現れました。一人は真面目でやさしそうなおじさんの高下さん、そしてもう一人は怪しげな髭のおっちゃん。その髭のおっちゃんは、少し前にTV番組「銭形金太郎」に登場し、一躍綾部の有名人となった篠塚さんです。自称「綾部一貧乏」というこのおっちゃんの自宅は星条旗やジャマイカ国旗を掲げ、テラスや展望台を増設しており、以前から前を通る度に「どんな人が住んでいるんだろう」と思っていたのですが、お会いしてみればその強面からは想像がつかないとても面白いおっちゃんです。お二人とも、定年後古民家を買い、綾部に移ってこられた方です。てきぱきと仕事をこなしてくれるので、猫の手も借りたい位の忙しさだった蔵は大助かりです。
2月に入り、久しぶりに雪が降りました。会社の周りで15〜20cm位はつもったでしょうか。今年は雪が少なくいつもなら厄介に思うものでも、降らないとなると話は別で、ちょっと寂しい気がしていました。やっと冬らしい景色となりました。
篠塚さんと高下さん
信じる心が勇気を生む!
映画「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」の中でウルトラマンが言った台詞で、私の心に残った言葉です。何事も信じることができなければ行動に移せないし、未来を信じなければ勇気はわかないですからね。
我が家の「ヒビノ ミライ」君(息子)のウルトラマン熱は高まるばかりで、今回も彼の熱心さに負けて(妻に言わすと「お父さんも一緒になって」)映画DVDの発売と同時に買ってきました。「メビウスは僕、お父さんはタロウ、お母さんはダダ。」という息子はウルトラマンたちの活躍に大興奮で、1日に何回も見ています。今回はキャッチコピーに「帰ってきたウルトラ兄弟」「僕らのメビウスが映画になった!!」とある通り、親子で楽しめるものになっていました。私にとっては「僕らのウルトラ兄弟が」なんですけどね。
私がウルトラマンが好きだった事は以前に書きましたが、好きだった理由のひとつに「兄弟」という言葉があります。兄弟がピンチの時には現れて、力を合わせて怪獣に向かって行く。そんな「兄弟」に憧れていました。
私が好きだったウルトラマンは「帰ってきたウルトラマン」と「ウルトラマンタロウ」でした。タロウは私が生まれた当時のウルトラマンで、一番初めに覚えた歌もタロウだったから。ではなぜ「帰ってきたウルトラマン」なのか?それは母の実家のいとこと関係があります。母の実家には2人のいとこがおり、その2人が「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」が好きだったのです。長男である私は甘えさせてくれる「兄」が欲しくて、「あの二人がウルトラマンとセブンなら、僕はその下の帰ってきたウルトラマンだ。」と思うようになったのです。ちなみに弟は「アストラ(典型的な弟キャラだな)」でした。それ以前からも仲が良かったのですが、ウルトラマンはそれまで以上に絆を強くしてくれました。その兄二人はやさしく、わがままな私とよく遊んでくれました。だから、今でも「兄さん達、それからアストラよ、困ったことがあったらどこにでも助けに行くぞ!」(ウルトラマン風に)という気持ちに変わりはありません。そして「兄弟」それぞれに家族ができた今、父親達を見習って「メビウスと新しいウルトラ兄弟が生まれたらいいな」とも思います。
「最後まで諦めず不可能を可能にする。それがウルトラマンだ!」(映画より)
息子が、いや子供達が何かにくじけそうになったとき、この映画をもう一度見せたいと思いました。「君達が信じたウルトラマンはこんなに強かっただろ、簡単に諦めてはダメだ」って。
麹造りで徹夜の夜、窓から見上げた夜空には満天の星が瞬いていました。この広い宇宙のどこかに「光の国」があると信じていた子供の頃のように、時間の経つのも忘れ見あげていました。
「息子よ、お父さんも、もうひと踏ん張りウルトラの光を信じてがんばるよ。なんたって、お父さんはタロウだからね。」
不思議と眠気がなくなり、力が湧いた気がしました。「信じる心が勇気を生む!」やっぱりウルトラマンてカッコいいですね。