さん絹のことをどのくらいご存知でしょうか?一般に皆さんに知られている「絹」とは、精練された練り絹のことであると思います。では、精練される前の絹糸(生糸:きいと)とはどのようものなのか、また精練とはどのようなことを言うのでしょうか?

糸は蚕(かいこ)が作る繭糸(まゆいと)を何本か合わせて一定の太さ(単位はデニール<説明はこちら>)にしたものです。
この繭糸は2本のフィブロイン繊維(約75%)と膠質(こうしつ)のセリシン(約25%)で構成されていて、 精練とは2本のフィブロインを覆うセリシンを取り除くことをいいます。
絹糸の特徴として、水分を含むと弾力性が高くなり、糸が伸びやすくなります。緯糸(ぬきいと:横糸のこと)に強撚糸(きょうねんし:強い撚りをかけた糸)を用いるちりめんをつくる過程で、この絹糸の特徴が重要な役割を果たします。
断面図

強撚糸を作る時、必要な本数の生糸を合わせた後に熱湯で煮ると、糸が伸びやすくなり、多くの撚りが掛けられます。(糸が伸びる→糸の直径が小さくなる→撚りがかかりやすくなる。例えば、厚手のバスタオルより、くたびれた薄いタオルの方が絞りやすいように)
更に、温めて柔らかくなったセリシンが、撚糸の後の乾燥で固まり、掛けた撚をそのままの形で固定(セット)することが出来ます。セットで撚りが止まってないと、製織ができません。

この強撚糸を織り込んだ後、精練によってセリシンを取り除くと、固定されていた撚りが戻ろうとするのに加え、絹自体が伸びていたものが戻ろうとすることでよこ糸が縮み、更にセリシンが取り除かれた空間が織物の膨らみになり(逆に言うと、縮む空間的余裕ができないと糸はうまく縮みません。)、織物の柔らかさ、手触りの良さ等ちりめん特有の風合いを作り出します。