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Q11 お供えする花は、どうして私達の方を向いているのですか?
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内陣やお仏壇の花は、もちろん仏さまへのお供えではあるのですが、
それだけの意味にとどまりません。仏さまから私たちへのはたらきかけも
表しているのです。

浄土真宗の依り所のお経のひとつ『仏説阿弥陀経』には、阿弥陀さまの
お浄土の様子をたとえて、「池中蓮華 大如車輪(池の中の蓮華、大きさ車輪の
ごとし)」と説かれた一節が出てきます。仏国土の池の中から清らかな蓮の花が、
大きな車輪のように咲きほこっているというのです。

また続けて、「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 微妙香潔
(青き色には青き光、黄なる色には黄なる光、赤き色には赤き光、白き色には
白き光あり。微妙香潔なり)とあります。様々な色の花が、それぞれあるがままに
美しく咲いて、かぐわしい香りを放っているというのです。

振り返って自分自身を見つめるとき、濁りきった世界に生きる煩悩だらけの
私がいます。いつも周りと比較して、やれ誰が上だ、やれ誰が下だのと、
それぞれのあるがままの素晴らしさを認めることのできない私がいます。
そんな濁りの世界を離れ、清らかなお浄土に間違いなく生まれてほしいと、
阿弥陀さまは願われています。

ものごとを正しく見ることができずに、苦しみ悩むお前を必ず救うぞと、
いつもはたらきかけて下さっています。そんな教えに気づかせていただくとき、
感謝の気持ち、ご恩に報いる気持ちから、仏さまに花をお供えさせていただく
のでしょう。そして同時に、いつも私に向かってはたらきかけて下さる仏さまの
お心を表し、お浄土の清らかさを偲ばせていただくために、花はこちらに向けて
お飾りするのです。