カストルのオリジナル解説

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2003.03.29
   セント・ポール組曲
【ホルストという作曲家について】
  ホルストという作曲家で真っ先に頭に浮かぶのは、
何と言っても名曲「惑星」でしょう。
大きなCD販売店では、立派にホルストのインデックスが
存在し、そこにはびっしりと惑星のCDが並んでいます。
でもホルストの作曲した曲って、勿論これだけじゃないです。
吹奏楽経験者なら、ミリタリーバンドの為の組曲
(又は吹奏楽の為の組曲)第1、第2が挙げられる事と思います。
無論私もこの2つの組曲は大好きです。
(どちらが、より好きか?と聞かれたら、
私は第1の方と答えるかも知れない。
私が聴いた他のホルストの曲は、「フーガ風序曲」があります。
そして、今回提供する、このセント・ポール組曲です。
ホルストの「惑星」のCDは、簡単に入手が可能ですが、
この組曲をはじめ、その他の作品は入手が困難です。
もう、輸入モノのCDしかありません。
ホルスト・ブームでも起きないかしら?(^^
ホルストの曲って、民謡が土台にある為か、
非常にいいメロディーが多く、不思議と懐かしい気分に
させてくれる様な気がしてきます。
日本人好みの作曲家じゃないかなぁ?と思っています。

【セント・ポール組曲ついて】
超有名組曲「惑星」と比べると知名度の方はぐんと低い様です。
1913年の作品で、ミリタリーバンドの為の第2組曲の2年後に
作られた曲で、弦楽器のみの合奏で奏でられます。
ある名曲を解説した辞典を観ていたら、ミリタリーバンドの為の組曲
の解説があったので、それを読んでいたところ、第2組曲の終曲が
この組曲にも使用されている事を知りました。同辞典に、この組曲の
説明・解説も載っていました。その時、この組曲に大変興味を持ちました。
うまい具合にラジオでこの曲が放送されたので、テープに録音して
聴きました。終曲を聴いた時、思わす微笑んでしまいました。
「全くそっくりだ!」と思いながら、この曲に聴き入っていました。

【セント・ポール組曲、各曲ついての個人的解釈・感想】
【第1曲目 ジーク】 Jig ファイル名: ST_S_JIG.MID
 曲調は、出だし暗いけどリズミカルで、少し滑稽さが伺える
ユニークな曲だと思います。
ジークとは、イタリアの古い舞踏曲の1つで、12/8、6/8、12/16、3/8等の
拍子で、比較的、速くて活発的なのが特徴だそうです。この曲も、
凄く速いテンポで演奏されるので、普通に打ち込めばテンポの上限を越えてしまいます。
そこで音価を半分にして打ち込む事にしました。軽快なリズムにのって繰り出される、
少し不思議な感じのするメロディー、出だし部分は、調号が記載されていませんが、
基本調はニ短調だと思います、途中ニ長調に転調します。この出だしの主旋律は、
弦四部(BASSを除く)のユニゾンで奏でられるのですが、MIDI音源でのストリングス特有の
共鳴が発生してしまうので、出だしからして挫折寸前でした。このメインテーマは、
この曲の重要な部分を占めます。さらに、このテーマの断片が要所要所に現れる様です。
コーダの部分では、只でさえ早めに演奏されるフレーズなのに、さらにアクセルをかけていきます。
奇妙な感じがする曲ですが、なかなかスピード感溢れる曲なので、楽しんで頂ければ幸いです。

【第2曲目 オスティナート】 Ostinato ファイル名: ST_S_OST.MID
 この曲が、組曲中一番短い曲で、比較的静かな曲です。
オスティナートとは、一定のフレーズを繰り返し演奏する事だそうですが、
第2ヴァイオリンがこれにあたります。出だし2小節、
E-D-C-D-E-D|C-D-E-D-C-D|のフレーズを繰り返す事、最初26回、
次にE-D-C-Dを繰り返す事、40回、再度最初の2小節のフレーズを
繰り返す事、19回、合計45回繰り返す計算になります。
この短いフレーズが繰り返し演奏される所に、ヴァイオリン・ソロや、弦の
ピチカートがのってきます。このヴァイオリン・ソロで奏でられる軽やかな
メロディーは、RPGに使えそうだなぁ、などと勝手に想像していました。
なんかウキウキとした気分で、野原を散歩している様な感じがすると、
私は思っています。組曲中、1番曲の感じが掴みにくい曲でもありました。
静かな曲なのが原因なのかどうかは判りません!
盛り上がりに欠ける曲ですが、なかなか面白い曲だと思います。

【第3曲目 インターメッツォ】 Intermezzo ファイル名: ST_S_INT.MID
 何処かアラビア風に感じてしまいそうな曲だと、私は思っています。
低音の弦のピチカートより始まるこの曲は、イ短調を基本と
している様ですが、ヴァイオリンのソロは、属調のホ短調で
構成されている様です。前の2曲とは対照的に、ゆったりとした
テンポで開始されます。ヴァイオリン・ソロは、ピッチベンド等を
もっと多用して、もっとねちっこい演奏にすれば良かったと思いますが、
技量の方が追い付かず、あっさりとした、味気の少ない演奏になったと
思うので、今後の課題としたいです。
曲の途中で、イ長調に転調し、テンポも一気に速くなるところがあります。
ここも、もっと軽快感が欲しかったんですが、結構重たい雰囲気に
なってしまいました。
それなりには楽しんで頂けるのではと思います。

【第4曲目 フィナーレ】 Finale ファイル名: ST_S_FIN.MID
ダガーソンと言う民謡によって構成されている曲で、この曲は
ミリタリーバンドの為の組曲第2の終曲と殆ど同じ曲です。
作曲者の手抜きではないか?と一瞬思えてくるぐらいなんですが、
弦楽器に置き換える事により、弦楽用に改良してあるのと同時に、
若干の加筆がなされています。
1曲目のJIGに似たリズムで構成されているこのダガーソンは、
この曲の中心的存在で、途切れる事なく約30回ぐらい繰り返されます。
このダガーソンは、同一楽器で繰り返されるのではなく、第2ヴァイオリンから
ヴィオラへ、ヴィオラから第2ヴァイオリンへという様に、リレー形式で
繰り返される事が多く、低音部で奏でられている時もあります。
時には対旋律にまわる事もあります。
曲の途中で有名な民謡、グリンスリーブスも流れてきますが、
一聴しただけでは判り難いぐらいに変形されているように思います。
最初はチェロで奏でられ、2度目は第1ヴァイオリンで奏でられます。
対旋律として、メインテーマたるダガーソンが流れています。
このメインテーマたるダガーソンは、全曲を通じて殆ど登場していて、
終わり数小節のみだけダガーソンが流れません。この曲と比較して、
個人的には第2組曲の方が好きです。(^^

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