音の形

 このページでは、F特(周波数分布特性)写真を掲載していく。AD、CD、DVD、LD、DAT、スピーカー何でもアリ。皆さんのご希望にもお答えするので、お気軽に「箱船の客室」までお知らせいただきたい。お待ちしている。

創隊50周年富士総合火力演習 MYU SOUND SELECTION

FE-108ES FE-108ESII FT-90HG付加 復刻盤 日本の自衛隊



ということで、プロフィールのページから慌しく引越し。

 「花火2000」の頒布開始に伴い、大急ぎでその全トラックF特を紹介する。これはマスターテープからアナログ入力で焼いたCD-RのF特。このCD-Rが頒布するもののマスターになる。D-Dコピーするので、基本的にカッティングレベルは変わらないはず、だ。
 25Hz〜40Hzあたりが前作に比べて10dBほど上がっている。この違いは一聴瞭然、F特で見る以上に違いは大きい。音の拡がりも前作を上回っていると思う。山にこだまする破裂音が鮮明に聴こえる。去年より虫の声に元気があり、近くから遠くまで良く録れていると思う。
 何か、自画自賛になってしまったが、どんなヘボでも同じことを二回やれば、少しはマシになるということで、お許し願いたい。
花火 2000
平成12年度
陸上自衛隊富士総合火力演習

 この猛烈なF特は、そう、「平成12度 陸上自衛隊 富士総合火力演習」の生録からである。'00年9月9日、東富士演習場での録音。MYUタカサキ氏と、AE86さんのとりはからいで、僕も参加させてもらった。タカサキさん、AE86さん、その節は大変お世話になりました。
 当日天気は最高、一日で真っ黒になるほどの日差しであった。しかし、風が非常に強く、録音にはあまり好適とは言えなかった。録音機材は花火と全く同一、ってそれしかないんだケド。
 生音はあまりにも強烈、アッテネーターなしではとても録り切れない。ECM-23F3にはマイクPADがないので、DATで−20dBのアッテネーターを入れる。これでレベルオーバーはなんとか防げるが、如何ともし難いのは、あまりの音圧にマイクが叩かれてしまうことである。
 初めて録ったにしてはまずまずの出来だと思ったが、後日聴かされたSY-99さん録音にはひっくりかえった。素晴らしい。いうことなし。
 やっぱり生録はセンス、である。
                     '00/02/20の日誌へ

 AE86さんのページにもアップされているが、これがSY-99さん録音の全トラックF特である。上とは明らかに形が違うのがわかる。こちらの方が中高域のレベルが高く、良く伸びている。聴感上でも、切れ、繊細感などで上回る。特に大きな違いは、音場感。広大な東富士演習場が、ほぼ生の状態で再現される。
 トラック1、90式戦車の射撃は特に秀逸。リハーサルだけに観客が入っておらず吸音されないせいか、エコーがどこまでも尾を引き、消えていく様子が細大漏らさず捉えられている。もちろん、発射音自体は極めて強烈、このF特からもわかるように完璧な再生は困難である。
 こんなものを聴いてしまうと、自分の録音が如何にショボいかを思い知らされるわけだが、そこはキャリアの違い、如何ともし難い。
 とはいうものの、僕の録音を聴いてみたいという奇特な方がいらっしゃるかも知れないので、次の機会に頒布しようか、などと勝手な事を考えているが、皆さんイカガでしょう?
創隊50周年 富士総合火力演習
MYU SOUND SELECTION


 MYUタカサキさんから発売の「MYU SOUND SELECTION」全トラックのF特である。どのトラックも凄まじい音の連続(ヒグラシの声も入っている)だが、音場感も素晴らしい。はっきり言ってこのF特、極めて危険である。100〜160Hzは完全にスケールアウトしている。
 拙システムで聴くと、低域の圧力が圧倒的でエライことになる。だがヒグラシの声は非常に繊細、ふわりと囲まれて心地よい。
 自衛隊演習は、やはり強烈である。面白いのはSY-99さん録音とも、僕の録音とも全く音が違うこと。当たり前のことなのだが、三種類の聴き比べはなかなか興味深い。



 上記CD、トラック07「F/A-18ホーネット デモ飛行」からのF特である。凄まじい形の犯人はこいつだった。
 聴感上でも猛烈サウンド、スピーカーも人も部屋も危ない。花火や戦車砲の射撃音とは違い、持続音なのでユニットのボイスコイルにかかる負荷は大きい。ボリューム設定には細心の注意が必要である。
 音の移動感も大変優れていて、部屋の中をジェット機が飛び回る。面白いのでついボリュームを上げたくなるが、やっぱりちょっと怖い。


 同、トラック05「丹沢湖花火大会」から。このページのアタマにある「花火2000」の形に似ているが、低域のレベルはコチラのほうがグンと高い。特に50Hz以下での違いが大きい。
 F特で見る以上に、両者で音が違う。低域の圧力(“量感”ではない、あくまでも“圧力”)が凄くて吹き飛ばされそうになった。
 このほかにも「自衛隊演習」、「雷」、「除夜の鐘」など正に壮絶サウンドてんこ盛り、ぶっ飛びのCDである。サウンドマニア必聴盤。

 しかしこのペ−ジのF特写真、こんなのばっかり。しかたないね〜、大好きなんだから。


 スーパースワンに着けたFE-108ES、ピンクノイズ再生ユニット軸上1mの特性。以下全てピンクノイズで測定。メインシステムの測定と同じレベルで測ったので、やや低空飛行になってしまった。お許し願いたい。

 400Hz〜1kHzに浅いディップ、12kHzに小さいピークが見られるが、大変いい特性である。100Hzのピークは箱船のクセだ。
108ES 軸上1m


 同3m。おそろしくフラット、まったく見事な特性である。50Hz、100Hzのピークは部屋のクセ、箱船はどうしてもここにクセが出る。多分定在波、無視して下さい。

 聴感上も透明感が高く、ハイは素直で聴いていて気持ちがいい。低域も充分出ているが、やや力感に欠けるか? しかし過不足なく、トゥイーターの必要も感じない。ESコーンの良さか、108Sに少しく感じられた埃っぽさもない。
108ES 軸上3m


 さて、ここからFE-108ESIIである。先ずはユニット軸上1mの特性。

 400Hz〜1kHzにディップがあるのはESに同様だが、こちらは深い。特に800Hz、1kHzは大きく落ち込む。なぜだか分からない。12kHzのピークも大きい。ESに比べ、中高域の能率はやや低いようである。ハイエンドは早めに落ちる。
108ESII 軸上1m


 同じく軸上3m。低域に出る箱船のクセを無視すればフラットと言えるだろう。ただし、800Hz、1kHzの落ち込みは残っている。やはり中高域の能率は2〜3dB低いようだ。低域はほぼ変わらない。見かけ上、低域のレベルが上がった形。

 F特だけで比較すると、ESのほうが良い音がしそう、だが、それだけで音は決まらないのがオーディオの面白いところ。聴感上のESIIは、鳴らし始めこそボコボコいうが、見る見るうちに目が醒めてスケール感極大、パワーを入れても崩れが非常に少ない。ハイは伸び悩むのかと思えばさにあらず、歪みが少なく実に自然な音を聴かせてくれる。気になる中域のディップだが、人の声を聴いてもまったく問題ない。ESに感じた低域の馬力不足は解消。HPコーンが効いているのか、全域に渡ってESよりさらにスムースになった。

 何を聴いても雄大、且つ切れ良く鳴らし切る。これからのエージングが非常に楽しみである。
108ESII 軸上3m


 3月23日から25日まで、ほとんど休まず鳴らし続けた後のF特である。測定条件はこれまでと同一。

 1.2kHz以上ではほとんど変化無し。低域では50Hzのピークが低くなり、160Hzのレベルが上がっている。800Hz、1kHzの落ち込みはやや浅くなった。全体としてはフラットに近づいた形である。

 聴感では、F特以上に大きな変化を見せる。生硬な感じがまったくなくなり艶やかさがグンと増した。女性ボーカルはハリがある。音場は極めて広大、マトリクスの必要はまったく感じない。低域は締まりが出てきてスピード感が上がった。

 まずまず、文句なし。
同 軸上3m(エージング72時間)


 スーパートゥイーターFT−90HGを付加してみる。Cの容量は0.47μF、108ESIIに対して逆相でつなぐ。

 真鍮サブバッフル面とトゥイーターホーン前端ツライチでは12kHzに大きなピークが出てしまう。そこで位置を調整、ホーン前端をバッフル面から12mm後退させて採ったのが右のF特である。

 10kHzに小さいディップが出るが、20kHzまできれいに伸びる。聴感上でもクセが無く、スムースで切れもある良い音である。これで充分イケそうだが、一応正相でも試しておきたい。
108ESII+FT−90HG(0.47μF逆相)


 コチラが正相でつないだときのF特である。位置関係がそのままでは当然上手くつながらない。どの辺りでフラットに近くなるかと前後に動かして探りを入れる。

 そうするとホーン前端をバッフル面から28mm後退させたところで、右のようなF特になった。一見、上の写真よりもきれいにつながっているように見えるが、聴感ではどうだろうか。

 あまり芳しくないのである。切れが悪く、ベールがかかったような音になってしまった。そのくせ、トゥイーターだけが分離したような鳴りかたをする。これはいけない。如何にF特の形がきれいになっても、音が悪くては話にならない。

 とりあえず、現状では上の条件で固定することに決定。今後、0.33μFも試してみたいと思う。
同上(0.47μF正相)
復刻盤 日本の自衛隊

 MYUタカサキさんのご尽力により、19年ぶりに復刻された「日本の自衛隊」である。ご覧の通り、間違いなくADである。オリジナルマスターテープを基に、カッティングからやり直し。厚く硬く重い180g盤でプレスした完全完璧復刻盤。感激である。

 写真上に見える元盤よりも余裕を持たせた音溝の切り方。手間は相当かかったと思われる。が、音には大きく寄与するはずだ。

 以下、スペアナ写真とともにハイライト的に聴く。


 先ずは新盤A-2「64式7.2mm自動小銃」から。

 写真は単射の部分のみを採ったものである。旧盤に比べて40Hz以下の超低域レベルが4〜8dB程度低く出ている。何故だか分からない。
 音は歪み感が少なく透明できれい。バシッと立ち上がる瞬間もクリップ感が少なく伸びがある。空気感はやや後退気味だが、その分引き締まった音になっている。

 いい音だ。


 旧盤A-2。同じく単射音のみである。

 明らかに超低域のレベルが高い。25〜400Hzまで一直線である。音もこの通りで、発射音の後にドフッという感じで空気が揺れる。これが自然なのかはちょっと疑問、だが、個人的には好きである。
 ピークに僅かの歪み感とクリップ感があるのは何の所為か。音溝がわりと混んだ切り方になっているのも原因の一つかもしれない。その点では新盤に譲る感じである。


 新盤B-5「特科部隊の攻撃」から155mm榴弾砲の射撃音である。

 このトラックに関しては、超低域のレベルが旧盤を上回っている。ところが聴感上ではやはり旧盤よりも締まって聴こえるのである。おそらく中域と超低域のレベル差の違いがこういう結果になるのだろう。
 発射音のクリップ感は少ない。S/Nが良い分音場感もよく、遥か彼方にドシンバスンと着弾する様子がありありと目に見える。オーディオ的快感である。


 旧盤B-5。

 超低域の空気感が凄い。部屋の空気がワサワサする。これもまた快感である。中高域は、やや詰まり気味か。スカーンと伸び切らない感じはある。
 盤質のせいか何のせいか、新盤に比べてS/Nがちょっと落ちる。その分音場感に影響が出て、前後感がわずかに圧縮されたように聴こえる。

 着弾音に付いて出てくる超低域、ボカァ好きだなあ。


 新盤C-1「F-4EJエンジン始動〜着陸」。

 これは新盤の勝ち。猛烈な高域のピークを持つこのトラック、特に4kHz〜8kHzの山は尋常ではない。トゥイーター危ない危ない。油断してボリューム上げたら大変なことになる。
 旧盤では詰まり気味で伸び切れなかったこの音、新盤ではスカッと伸びて高品位サウンドである。この辺り、こだわりのカッティングとプレスの威力が発揮されていると思った。

 旧盤C-1。

 こうして見ると、このトラックは新盤のほうがカッティングレベルがやや高いように見えなくもない。製作現場でこのほうが良いとの判断があったのかもしれない。
 こういう音、旧盤ではちょっと苦しい感じがする。歪みと詰まりは、ある意味迫力の演出にもなる、が、新盤の音を聴くといささか考え込んでしまうのである。

 以上、慌しく飛ばし聴きしたわけだが、結論としてこの新盤は素晴らしい。サウンドマニア必聴絶対買い。今のうちに買っておかないと、またぞろプレミアがついちゃうよ。
 変人を自認する皆さん、こぞって注文しましょう。

 03/12/19

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