電気回路の接地(アース)については、電気設備技術基準に規定されています。
(英語では「ground」です。「earth」という表現は、使いません。)
接地の種類には、A種、B種、C種、D種があります。
原則として電路以外の金属体の接地であり、
高圧または特別高圧電路に接続される変圧器の外箱や高圧電動機の外箱など、
高電圧の侵入のおそれがあり危険の程度が大きい場合に適用します。
電気設備技術基準では、以下のとおり規定されています。
接地抵抗値は10Ω
高圧または特別高圧電路と低圧電路を結合する変圧器において、
混触による低圧電路への異常高電圧の発生を防止するために適用します。
接地工事は、変圧器低圧側の中性点におこないますが、低圧電路の使用電圧が300V以下で、
変圧器の中性点を接地することが困難な場合は、低圧側の一端子を接地することができます。
変圧器の低圧側が、三相200VでΔ(デルタ)結線の場合は、中性点がないので、U−V−W相のうち、V相を接地します。
変圧器の低圧側が、三相400Vの場合は、Y(スター)結線とし、中性点引き出しの仕様として、中性点を接地します。
変圧器の低圧側が、単相三線式200−100Vの場合は、中性点を接地します。
接地抵抗値は、
150÷(変圧器の高圧側または特別高圧側の電路の一線地絡電流のアンペア数)で求めたオーム数。
300÷(同上。ただし低圧電路の対地電圧が150Vを超える場合に2秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を設ける場合)で求めたオーム数。
600÷(同上。ただし同上の1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を設ける場合)で求めたオーム数。
原則として電路以外の金属体の接地であり、300Vをこえる低圧用の機器に適用します。(400Vなど)
接地抵抗値は10Ω
(0.5秒以内で動作する地絡遮断器を設けた場合は500Ω)
原則として、電路以外の金属体の接地であり、比較的危険度の低い場合に適用します。
電気設備技術基準では、次のとおり規定されています。
接地抵抗値は100Ω
(0.5秒以内で動作する地絡遮断器を設けた場合は500Ω)
電気設備技術基準では、
と規定されています。
接地線については、緑色の標識を施することになっています。
また、接地線の太さは、そこを流れる故障電流に十分耐えることのできるものとしなければなりません。
電気設備技術基準では、各接地の種類ごとの最小電線太さ(サイズ)が規定されています。
また、内線規程には、各接地工事ごとの接地線の太さが規定してあります。
高圧または特別高圧の「EA」接地と、避雷器用の「EA」接地は、共用しません。
雷サージにより、接地極の対地電圧が上昇するので、避雷器用「EA」は、別途設けます。
また、「EB」接地と他の接地は、共用しません。
負荷側の漏えい電流は、すべて「EB」に流れ込むため、接地極の対地電圧が上昇し、感電する危険性があります。
低圧用(400V、200V、100V)の計器用変成器(VT、CT回路)の二次側は、接地の必要はありません。
(VT:Voltage Transformer=計器用変圧器、CT:Current Transformer=計器用変流器)
低圧(400V、200V、100V)から低圧に変成する変圧器の二次側は、電路絶縁の原則から接地の必要はありませんが、
変圧器二次側に漏電しゃ断器(ELCB)を設ける場合は、変圧器二次側中性点(200V、100Vで中性点がない場合はV相)を接地する必要があります。
接地をしないと、ELCBは漏電時にしゃ断動作しません。
電算機(コンピュータ)を「EA」で接地しなさいというのは、接地抵抗値が小さいからという理由だと推測します。
高圧または特別高圧で動くものではないので、「EC」でよいと考えます。
キュービクルの設置で、受電変圧器の「EB」の接地抵抗値を決める場合、
一線地絡電流を求めるのは容易ではないので、受電する電力会社に問い合わせるのがよいでしょう。