あの風船はどこまで行くんだろう

少女の手から離れて飛んで行ったあの風船

 

 

ドライヴの目覚ましがてらコーヒーを買った時に

売店の出口で少女にぶつかってしまった

その瞬間、風船は行くアテのない旅に出た

 

少女は少し目を潤ませ

今にも泣き出しそうになってた

僕はしゃがんですぐに謝った後

すぐに辺りを見渡し

風船を売っている売店を見つけた

僕は少女を待たせて風船を買いに走り

さっきまで少女が持ってたよりも大きな風船を選び

僕はその風船を渡してあげた

 

今にも泣きそうだった少女が

目を潤ませたまま笑顔を見せてくれた

僕はその笑顔が見たかった

飛んで行った風船は帰って来ないけど

少女に笑顔が戻ってくれたのが僕は嬉しかった

 

車に戻り僕は飛んで行った風船の事を

何故か思い出していた

あの風船は一体どこまで飛んで行くんだろう?

今の僕と同じ気持ちでアテもなく飛んでるんだろうか?

それとも…どこかで飛べなくなって

誰かにしぼんだ姿を見られて拾われてるんだろうか?

僕もいつかしぼんでしまった姿を見られて

誰かが僕を拾ってくれるのかな?

 

そんな事を思いながら僕はハンドルを握り

行くアテもなくアクセルに力を込めた

いつかあの少女が見せてくれた笑顔の様に

僕にも笑顔が出せるその日に辿り着く事を

夢に見ながら…