自己保持回路

自己保持回路とは、リレーシーケンスの代表的な回路で、
リレーの「ON」状態を記憶しておく回路です。

自己保持回路

上図左側の回路が、基本的な自己保持です。

押しボタンスイッチ(BS1)を押すと、リレー(X1)が、ONになります。
リレー(X1)の「a接点」で、押しボタンスイッチ(BS1)を短絡するので、
スイッチ(BS1)から手をはなしても、リレー(X1)は、ONのままです。

押しボタンスイッチ(BS2)は、「b接点」なので、スイッチ(BS2)を押すと、
リレー(X1)がOFFになり、自己保持が解除されます。

上図右側の回路は、故障表示などに使われる自己保持回路です。

故障接点(TH1)が、「ON」になると、リレー(X1)が自己保持します。
故障接点(TH1)が「OFF」になっていないと、押しボタンスイッチ(BS)を押しても、
自己保持は、解除になりません。

停電すると、自己保持は解除(リセット)されるので、
停電から復帰した場合にも、状態を記憶させたい場合には、
キープリレー(ラッチングリレー)を用いる必要があります。

キープリレーには、セットコイルとリセットコイルがあり、
セットコイルを「ON」にすると、接点が「ON」になり、
リセットコイルを「ON」にすれば、接点が「OFF」になります。

キープリレー(ラッチングリレー)

「a接点」とは、通常解放(OFF)で、操作「ON」のとき、導通(ON)になる接点です。
「N.O.接点」とも言います。(Normally Openの略)
a接点図記号

「b接点」とは、通常導通(ON)で、操作「ON」のとき、解放(OFF)になる接点です。
「N.C.接点」とも言います。(Normally Closedの略)
b接点図記号

「c接点」とは、「a接点」と「b接点」が、ひとつになっている接点です。
(「a接点」の片側の端子と「b接点」の片側の端子が共通になっているものです)
c接点図記号

タイマー自己保持回路

上図左側の回路は、押しボタン(BS)を押すと、自己保持になり、
タイマーにて、設定時間後に自己保持が解除される回路ですが、
実際には、うまく動作しません。
(設定時間になっても自己保持が解除されません)

これは、タイマーの接点のほうが、リレー接点より早く復帰するためです。
(自己保持が解除される前に、タイマーだけがリセットされてしまいます)

実際に回路を設計する場合は、上図右側の回路を使用してください。

実用的な自己保持回路は、下図のようになります。

電動機(モーター)の始動と停止を、ふたつの押しボタンスイッチでおこなうものです。

電磁開閉器(MC)を用い、主接点をモーターの始動に使い、補助接点を自己保持に使います。

なお、インターロック(運転条件)として、サーマルリレー(TH)の「b接点」を直列に入れておきます。
モーターが過負荷になった場合は、サーマルリレーが作動し、自己保持が解除するようにします。

さらに、電磁開閉器の補助接点と、サーマルリレーの「a接点」を用い、「運転」「停止」「過負荷」の表示をします。

主回路から分岐する制御回路に設けるヒューズ(F)を、両切りとするか片切りとするかは、 こちらを参照ください。

電磁開閉器の自己保持回路

押しボタンスイッチひとつで、自己保持を「ON」「OFF」させる回路は、
有接点リレー回路では、下図のとおり、複雑になります。

スイッチひとつで自己保持回路

プログラマブルコントローラ(PLC)のラダー回路では、下図のとおりです。
(シーケンサーは、和製英語です。英語では、Programmable Logic Controllerです。)

スイッチひとつで自己保持PLCラダー回路