変圧器の配線用しゃ断器の選定

変圧器(トランス)の一次側に設ける配線用しゃ断器(MCCB)を選定する場合、
変圧器の容量から求めた定格電流で選定すると、電源投入時にMCCBがミストリップしてしまいます。

これは、変圧器の励磁突入電流によるためです。

変圧器の励磁突入電流は、定格電流のおよそ20倍で、数サイクル流れるといわれています。

変圧器の定格電流は、次の式で計算できます。

三相変圧器の場合
I=P×1000/(√3×V)

単相変圧器の場合
I=P×1000/V

ここで、Iは電流(単位=A:アンペア)、Pは変圧器容量(単位=kVA:キロボルトアンペア)、Vは電圧(単位=V:ボルト)

MCCBは、その動作特性曲線を入手して確認する必要がありますが、
一般的に、定格電流の600%で、数秒の不感帯があります。(長限時引き外し領域)

したがって、変圧器の励磁突入電流が、この長限時引き外し領域に収まるように選定すればよいことになります。
変圧器の励磁突入電流を20倍として、MCCBの長限時引き外し電流を600%とすると、

=I×20/6

求めた電流値、Iの直近上位の定格電流のMCCBを選定します。

変圧器の二次側のMCCBの選定は、変圧器二次側の定格電流で選定します。

以下のフォームに値を入れて計算してみてください。

変圧器定格電流およびMCCB計算

相数 




変圧器一次側定格電流
変圧器二次側定格電流
変圧器一次側MCCBAT
変圧器二次側MCCBAT

励磁突入電流を20倍とした場合の選定表は、下記のとおりとなります。
厳密に、設計する場合は、使用する変圧器の特性表を入手して、励磁突入電流を調査する必要があります。

変圧器用MCCB選定表(励磁突入電流を20倍とした場合)

三相変圧器
三相変圧器容量変圧器一次側MCCB
AC400VAC200V
3kVA15AT30AT
5kVA30AT50AT
7.5kVA40AT75AT
10kVA50AT100AT
20kVA100AT200AT
30kVA150AT300AT
40kVA200AT400AT
50kVA250AT500AT
75kVA400AT800AT
100kVA500AT1000AT
150kVA800AT1600AT
200kVA1000AT2000AT
300kVA1600AT3200AT
500kVA2500AT5000AT
単相変圧器
単相変圧器容量変圧器一次側MCCB
AC400VAC200VAC100V
0.5kVA5AT10AT20AT
0.75kVA10AT15AT30AT
1kVA10AT20AT40AT
1.5kVA15AT30AT50AT
2kVA20AT40AT75AT
3kVA30AT50AT100AT
4kVA40AT75AT150AT
5kVA50AT100AT175AT
7.5kVA75AT125AT250AT
10kVA100AT175AT400AT
20kVA175AT400AT800AT
30kVA250AT500AT1000AT
50kVA500AT1000AT2000AT
75kVA800AT1250AT2500AT
100kVA1000AT2000AT4000AT

MCCBを選定する場合は、定格電流のほかに、定格しゃ断容量も考慮しておく必要があります。
定格しゃ断容量の決定に当たっては、こちらを参照ください。